チャイコフスキーの妻
映画「チャイコフスキーの妻」を観ました。
フランス、ロシア、スイスの合作映画です。以下ネタバレありです。
悪妻と言われているチャイコフスキーの妻であるアントニーナが主人公の映画です。
私にはアントニーナが悪妻には思えませんでした。アントニーナは盲目的にチャイコフスキーを愛します。チャイコフスキーは最初、アントニーナの勢いに引き気味に接するのですが、「私は短期で気難しい人間だが、それでもいいか?兄と妹のような穏やかな関係ならば。」と結婚を申し込みます。そう、結婚を申し込んだのはチャイコフスキーです。
実際にチャイコフスキーは同性愛者で結婚当初は嬉しそうに妻を友達に紹介しますが、夜の夫婦生活を拒否しアントニーナを避けるようになります。そして、弟や友人を介して離婚してくれと言いますが、アントニーナは断固拒否します。なぜならアントニーナはチャイコフスキーを「他の人とは違う。特別な人だ。」と愛しているから。
離婚の調停をしようとするシーンが面白かったです。この時代、離婚するには理由がないとできません。「チャイコフスキーが不貞行為をした。」というのを弁護士達は離婚理由としようとするのですが、アントニーナは納得いきません。チャイコフスキーは不貞行為をしていないからです。神に誓って結婚して2人共不貞行為をしていないのですから離婚する理由が見当たらないわけです。今みたいに「性格の不一致」では離婚できない時代だったんですね。結局2人は離婚はしませんでした。
実はアントニーナは子供を3人産みます。弁護士との間にできた子供です。産んだ子供は「ピョートル」という名前をつけますが施設に預け育てようとはしません。感情的なものと性的なものが一致しておらず、チャイコフスキーを愛せても子供のことは愛せなかったようです。そこは私は共感できませんでした。
蝿がよくでてきます。はらってもはらっても顔にまとわりつきます。これはチャイコフスキーにとってのアントニーナだったんでしょう。色彩といいと描き方がとても芸術的に感じました。
今、所属しているオーケストラではチャイコフスキーの交響曲第5番を練習しています。チャイコフスキーのことを深く知りたかったのもあり、この映画を観ました。時代の雰囲気やチャイコフスキーの性格のようなものを感じることができました。